借金の法的整理は清算価値に始まり清算価値に落ち着く・・・とまではいいませんが、この清算価値を知らなければ「債務整理」は難しく感じます。
個人再生で気になるのは、個人再生でどの程度借金が減るのか?って部分じゃないでしょうか。
基本的に借金の残債によってそれは決まっているんですが、実際には「清算価値保障原則」ってのがあるから難しいわけです。
今回は「借金と清算価値」についてわかりやすく、そしてしっかりとご説明します。
個人再生での減額率
小規模個人再生では借金の額「債務額」は、基本的には決まったルールで減額されます。
それは借金の残債です。
下の表を参考にしてください。
100万円未満 | 借金総額 そのまま |
100万円以上500万円以下 | 100万円 |
500万円超1,500万円以下 | 借金総額の5分の1 |
1,500万円超3,000万円以下 | 300万円 |
3,000万円超5,000万円未満 | 借金総額の10分の1 |
上記表は基本的な計算なので、状況によっては変わってきますが概ねこの通りになります。
ただし個人再生にはもう一つの条件があります。
それが前述した「清算価値保障原則」です。
清算価値保障原則ってなんだ?
借金を返すから減額してね!って言い分を認めてもらうけど・・・実は高額な車、たとえば自分名義のベンツを持っていたりすると、やはり話は変わりますよね?
あなたにお金を貸した人からしてみると・・・
おいおい!
借金を減らせって言うけど、おまえの車を売ってお金にしろよ!
・・・って事になりかねません。
なので裁判所では、あなたの資産をお金にして計算し、それを提出する必要があるわけです。
そのように目に見えない資産をお金に計算し直したのが「清算価値」と言います。
車だと分かりやすいですが・・・例えば、有価証券や保険の返戻金、敷金や退職金などもそこに入ります。
え?退職金も??
そうなんです。
悲しいけど退職金も清算価値になります。
といっても実際に退職時にもらう金額ではなく、いま退職したとしたらいくら退職金がもらえるのか?
そのうちの8分の1が清算価値になります。
なので退職金計算書が必要になります。
これが少し面倒なんですが・・・仕方がありません。
結局どうなるの?
では清算価値と借金の残債・・・この二つを出して結局はどうなるのか?
簡単に言えばより大きい方で返済額が決まるって事になります。
ここでさきほどの表を参考に簡単に説明します。
【例1】借金の残債が500万で清算価値が500万円
この場合は借金の残債は5分の1の100万円まで減額されます。
でも清算価値が500万円あるので返済額は500万円です。
結果的に減額はできていません。
【例2】借金の残債が500万円で清算価値は50万円
この場合は分かりやすいです。
減額した残債は5分の1で100万円、そして清算価値が50万円なので、多い方の100万円の返済となります。
このように減額された借金の額と、清算価値を比較して多い方が返済額となります。
清算価値と借金のまとめ
このように説明すると少し不安になるかもしれませんが心配は不要です。
借金が返せなくなって個人再生をする方は、その時点ですでに高額な物はない事が多いです。
逆にそんな状態なのに高級車を乗り回し、ゴルフの会員権などの有価証券があると・・・債権者だけじゃなく裁判所も認めてくれません。
その前に弁護士の先生が受任もしてくれないでしょう。
借金に困ったときはまずは相談する事が大事な理由に一つがここにもあります。
仮にそんな場合でも弁護士の先生は適切にアドバイスくれますよ!
いつも応援ありがとうございます。